オンライン・フライフィッシング・スクール

  • さあ皆さん、いよいよ今回はフライ(毛ばり)についてのお話です。
  • ここまでの回で、フライフィッシングに必要な道具類について覚えてもらいました。
  • さて、あとは肝心なフライというわけです。が、そこでフライを選ぼうとしてカタログを見たりショップに買いに行ってみると、なんとまあその種類の多いこと・・・。
  • いったいどれを使えばいいのやらと、大いに迷ってしまうことでしょう。
  • トラウトフィッシングでのフライは、マス達が食べている虫と深く関係しているということはこのスクールの始めにも述べましたが、多くのフライはこのエサとなっている虫を模倣したものになっているのです。
  • これがフライフィッシングの歴史の中で、達人や名人などと呼ばれる色々な人達が創意工夫して作り上げてきた積み重ねで、このようにたくさんの種類になってきたのです。
  • でも、この一見膨大な種類に見えるフライも、その機能(浮力・形状・動き等)や色、サイズあるいは素材でカテゴリー分けすることが出来ます。
  • そして、この種類を理解する上でもマス達のエサとなっている虫のことを少し覚えると分かりやすいですし、フライの選択の基準にもなります。
  • そこで、まず始めにフライの元になっている虫について簡単に説明してみましょう。
  • 中でもメインは、水生昆虫と言われている虫達ですので、まずはその辺りから・・・。
  • 水生昆虫
  • フライフィッシングの世界で水生昆虫と言えば、まず挙げられるのがカゲロウです。
  • この虫は昆虫の中でも独特のライフサイクルを持っていて、フライパターンにもそれが多く反映されています。
  • それでは、順を追って見てみましょう。
  • ニンフ
  • カゲロウ(メイフライ) ニンフ
  • 水中で生活している幼虫時代をニンフと言います。
  • 餌釣りではピンチョロやカメチョロ、砂虫などと呼ばれポピュラーなエサとしてよく知られています。
  • これを模したフライをニンフパターンのフライと言いますが、フライフィッシングでは体型や行動パターンで次のように大別しています。
  • 1. よく泳ぐタイプ
  • 2. 石に張り付くようにしていて滑るように移動するタイプ
  • 3. 川底を這い回っているタイプ
  • 4. 砂に潜っているタイプ
  • タイプ別で体型的にも共通点があるので、その違いくらいは大雑把に分かるようになるとフライを選ぶ基準になりますし、釣り方の参考にもなるでしょう。
  • いや、なによりニンフが身近に感じられますよ。
  • ダン
  • カゲロウ(メイフライ) ダン
  • この段階が他の昆虫に無い独特なもので、フライフィッシングの重要なキーワードにもなっています。
  • 普通、昆虫は幼虫から成虫になる過程で「さなぎ」の状態を経ていきます。
  • 例えば、青虫が「さなぎ」になって蝶になるということですが、カゲロウはこの「さなぎ」の時代が無く幼虫が脱皮して、そのまま羽の出た成虫の一歩手前の姿になります
  • これが、ダン(亜成虫)と呼ばれる状態です。
  • ニンフが、このダンになるために脱皮をする訳ですが、川辺の石などにニンフがよじ登って水上で脱皮する種類ならばまだいいのですが、水中あるいは水面で脱皮する種類は脱皮したダンが飛び立てるようになるまでしばらく水面を漂わなくてはなりません。
  • つまり、ニンフが脱皮するために水底を離れてからダンが飛び立つまでが、無防備で食われやすい状態なのです。
  • したがってこの段階を模したフライパターンがたくさんあるのです。
  • 〇〇ダンのように、フライにダンと名前が付くものはもちろん、それ以外にも水面を流すフライにはカゲロウのダンを表現したパターンが色々とあります。
  • スピナー
  • カゲロウ(メイフライ) スピナー
  • ダンがもう一度脱皮して、完全な成虫になります。
  • この成虫のことを、スピナーと呼びます。
  • スピナーは川面を飛び回ってそして交尾し、産卵のために再び水面に戻ってきます。
  • やがて産卵を終えたスピナーは、その生涯を閉じて水面に落ちて流されます。
  • ここでまた、マスのエサとなる場面が生じることになり、したがってスピナーを模したフライパターンがあるわけです。
  • 水面に落ちたスピナーは羽を左右に広げて流されるので、スピナーパターンのフライはこの状態をイメージしたものが多くなっています。
  • カゲロウと並んで、フライフィッシングで馴染みの深い水生昆虫です。
  • この虫は、普通の昆虫のように完全変態をします。
  • 幼虫をラーバ「さなぎ」をピューパ、そして成虫をアダルトと呼んでいます。
  • カディスラーバ
  • カディスラーバ
  • イモムシのような幼虫で、小石等で巣を作っているものや川底の石の間などに網巣を張ったりしているものがいます。
  • 餌釣りのエサとしても、よく使われます。
  • よく知られているものとして、大型で目立つヒゲナガ・カワトビケラのラーバが黒川虫と呼びエサとしてよく使われているようです。
  • カディスラーバ
  • カディスピューパ
  • ラーバが成熟して時期がくると、小石等でしっかりとした蛹巣を作りそのなかでピューパに変態し、羽化の時に巣を破って水面に泳ぎ上がりそして脱皮して成虫になります。
  • したがってカディスも、この段階が食われやすいのでフライパターンもこの状態を模したものがあります。
  • ピューパは巣から出ると水面まで素早く泳ぎ上がり、動きが早いのでピューパのフライで釣りをするときはこれを考慮に入れてフライの動きを演出するのも効果があると言えます。
  • カディスアダルト
  • カディスアダルト
  • 三角屋根のテント型をした羽が特徴的で、色々なアダルトパターンのフライがあります。
  • カディスはアダルトも水面を走り回ったりすることが得意で水中に潜って産卵したりもするので、このような行動もカディスフライの釣り方の参考にします。
  • メイフライやカディスに比べると使用頻度は低くなりますが、時期や状況によっては重要なフライパターンになりますので、やはりここでチェックしておきましょう。
  • カワゲラ(ストーンフライ) ニンフ
  • ニンフ
  • ストーンフライの幼虫もニンフと呼びます。
  • 一見カゲロウのニンフの様に見えますが、もう少しゴツい感じです。
  • そして脱皮は、ニンフが川岸の石等に這い登って行われます。
  • この虫は「さなぎ」の段階が無く、ニンフが脱皮してそのまま成虫になります。
  • カワゲラ(ストーンフライ) アダルト
  • アダルト
  • 脱皮は陸上で行うので、そのときにマスに食われる危険は少ないのですが、なんらかの影響でアダルトが水面に落ちて流され食われていることもよくあります。
  • 川面をストーンフライがたくさん飛んでいるようなときはハッチが集中している(この辺りのことは、この連載の第一回を参照)ということで、こんなときは結構ストーンフライのアダルトを食っています。
  • カゲロウ・トビケラ・カワゲラと並んで、フライフィッシングで重要な水生昆虫にミッジがあります。
  • ミッジとは、元々双翅目(そうしるい、ユスリカ・ブユ・ガガンボ等)の総称と言うことになっており、これらはまた小さいものが多いので小さめのフライの意味としても使われています。
  • しかし今では、その中でも特に使用頻度の高いユスリカを指してミッジと呼ぶことが多くなっています。
  • またガガンボについては、独立してガガンボパターンとして扱われています。
  • どちらも「さなぎ」が水中か水面脱皮をしますので、フライフィッシングではピューパとアダルトが重要になります。
  • アリやバッタ・甲虫といったいわゆる普通の虫のことで、フライフィッシングでは水生昆虫と対比して陸生昆虫と呼んでいます。
  • 夏場は水生昆虫のハッチ(羽化)も少なく、変わってこれらの昆虫がマス達のエサになることが多くなるので、フライもテレストリアルパターンと言われるものがよく使われます。
  • ここに紹介した虫達が、フライフィッシングに馴染みの深い昆虫になります。
  • フライフィッシャーマンの目として、分かっていた方が楽しくなることを簡単に解説してみました。
  • いきなり「今ハッチしているのは〇〇カゲロウだ」などと分からなくっても、もちろん構いません。
  • ただ、いま川面を飛んでいるのはカゲロウなのかカディスなのかの違いとか、どの位の大きさでどんな色なのかといったことに興味が向くとフライを選ぶ基準にもなりますし、フライフィッシングの視野が広がってくるでしょう。
  • そしてその後、自分の興味に応じて虫のことをもっと詳しく調べてみたり本を読んだりして知識を深めていけばいいのであって、顔をしかめて勉強するようなものではありません
  • でも虫のことが、色々と見えてくるということもフライフィッシングの楽しみの一つだと思います。
  • それでは次に、代表的なフライパターンを紹介しておきましょう。
  • ここで紹介するパターンは、ある特定な虫を忠実に表現したというよりはむしろ汎用性が高くイメージ的に虫を表していたり、長い歴史の中ですたれることなくよく使われているような「定番」的なフライです。
  • 別な言い方をすれば「始めは、このあたりのフライを使ってみるのが良いでしょう」というフライです。
  • フライパターンはカテゴリー別に「ドライフライ」「ニンフフライ」「ウェットフライ」「ストリマー」に大別できますので、その種類別に紹介していきます。
  • また、フライのサイズについてですが、これは使用しているフックサイズで#12、#14というように表示され、数字が大きくなるとフックは小さくなります。
  • だいたい#10〜#18位が、マス釣りで使うフライの中心サイズです。
  • 水面に浮かべて使うフライ。
  • カゲロウのダンやスピナーその他の水生昆虫のアダルトを意識したものや、アリやバッタ等の陸生昆虫を模したものなどがあります。
  • 始めは、ここに紹介するフライをサイズ#12〜#18位で色を黒っぽいもの・白っぽいもの・茶色っぽいものといったように数色用意しておくと良いでしょう。
  • スタンダード・ドライ
  • スタンダード・ドライ
  • 歴史の中で完成されたドライフライの基本型
  • 長い間、すたれることなく使われ続けていて実績も十分。
  • サイズやカラーバリエーションでパターンも豊富。
  • パラシュート
  • パラシュート
  • スタンダード・ドライではフックの軸に巻かれて放射状に広がっているハックルを、フックの軸ではなくウィングの付け根に水平に巻いたタイプ。
  • スタンダードパターンのハックルをパラシュートタイプにしたものだけでなく、色々なバリエーションがあります。
  • パラシュートフライは、浮力も有り視認性も良いので使いやすいフライです。
  • エルクヘアーカディス
  • エルクヘアーカディス
  • 元々はカディスのアダルトをイメージしたフライパターンの一つですが、その使いやすさから使用頻度が高く「エルクで釣れたよ」と略して会話されるほど知名度が高いフライ。
  • これもパラシュートと並んで、浮力・視認性ともに良いので初めに使うのに向いています。
  • ミッジ
  • ミッジ
  • ユスリカ等をイメージした、フックサイズ#20以下のフライ
  • 小さいので、当然見ずらく慣れないうちは使いづらいかもしれません。
  • でも、どうしてもこのサイズのフライでないと釣れないことがありますので、やはりフライボックスに用意しておきたいパターン。
  • 水中に沈めて使うパターン。
  • 主に、水生昆虫の幼虫をイメージしている。
  • ラーバやピューパのパターンも、総称としてニンフフライのなかに入る。
  • ニンフもドライ同様に、色・サイズを用意しておきましょう。
  • サイズは#10〜#16位を揃えておきます。
  • ゴールドリブド・ヘアーズイアー
  • ゴールドリブド・ヘアーズイアー
  • 応用が効く、代表的なニンフパターン。
  • サイズやシルエットの違いで色々なカゲロウのニンフに対応するし、なによりもこのヘアーズイアー(野ウサギの耳の毛)というマテリアルとゴールドワイヤーのリビング(虫の体節をイメージしてらせん状の縞目を入れること)の組み合わせが実によくマス達に効くのです。
  • ゴールドリブド・ヘアーズイアー
  • フェザントテイル・ニンフ
  • ゴールドリブド・ヘアーズイアーとならんでニンフの定番パターン。
  • これもフライを作るのに使用されているフェザントテイル(きじ)というマテリアルが、そのままパターン名になっています
  • 小型のカゲロウのイミテーションとして完成度の高いフライですが、特定のニンフのイミテーションというよりは汎用性の高いニンフフライといえます。
  • カディスピューパ
  • カディスピューパ
  • これは、トビケラの「さなぎ」が脱皮のために水面に向かっている状態をイメージしたパターンです。
  • 大きさや色は様々なパターンがありますが、大体ここに紹介したような感じで柔らかなボディと動きを意識したソフトハックルを巻いたものが多くなっています。
  • このパターンのフライもよく使われるもので、使い方は自然に流すだけでなく浮き上がって泳ぐ様を演出するのも効果的です。
  • 最も歴史のあるパターン。
  • 水生昆虫のある状態を表現していると言われているようなナチュラルなものから、色彩も鮮やかでいわゆるアトラクター的な要素の高いものまでサイズ・カラーともに様々。
  • スタンダード・ウェット
  • スタンダード・ウェット
  • 使われるマテリアルも色々で、これだけでも奥深いものがあります。
  • 一般的には、このようなパターンでニンフと同じように使うか、あるいはラインにテンションをかけて泳がせるウェットフライの釣りというものがあります。
  • ソフトハックル
  • ソフトハックル
  • ウェットフライとニンフフライの中間のようなタイプ。
  • 厳密な区別はありませんが、パターン上区別して呼ばれています。
  • 虫ではなく、大型のマスがエサにしている小魚を模したものがストリーマー
  • 特定なもののイミテーションというよりは、動きや全体の印象でアピールするフライをアトラクタータイプと言います。
  • これも厳密な区別はなく、むしろ釣り人側のイメージで使い分けています。
  • ストリーマー
  • ストリーマー
  • 鳥の羽や動物の毛等を組み合わせて、小魚をイメージしています。
  • マス釣りでは、湖の方が使用頻度は高くなります。
  • フライをキャストして、ラインをリトリーブ(手繰り寄せる)して泳がせて使います。
  • ゾンカー
  • ゾンカー
  • ウサギの毛を使い、その柔らかな動きを利用したストリーマーの一種です。
  • 大物釣り用のフライとして有名で、これだけをストリーマーの中から独立したパターンとして扱われています。
  • バリエショーンも色々あります。
  • ウーリーバガー
  • ウーリーバガー
  • これは何といっても、なかなか難しいフライパターンです。
  • 人によってはカジカのような小魚のイメージと言う人もいますが、全体の印象と動きが大変効果的なフライで「引っぱってのも良し」「ただ流しても良し」の釣れるフライです。
  • 特に、放流マスには良く効きます。
  • 管理釣り場には必携でしょう。

次回は、第4回 : フライキャスティングの初歩